おいしい水って
水のおいしさは、中に含まれているミネラルなどの成分が関係していることはだいたい想像出来ます。 おいしい水の評価法についてはいくつかの提案があります。かつて、大学の先生が「おいしい水」の程度を数値で表す方法を提案しました。 また、厚生省(今の厚生労働省)では大勢の人にいろいろな成分の入った水を飲んでもらい、おいしい成分の数値を割り出しました。 ここでは、その二つの例を紹介します。 <例1>大学の先生案 おいしい水指標(OI)=(Ca+K+SiO2)/(Mg+SO4)・・ 2以上だとおいしい水 健康な水指標(KI)=Ca−0.87Na ・・・・・・・5.2以上だと健康によい水 (出典:橋本奨(1989)健康な飲料水とおいしい飲料水の水質評価とその応用に関する研究)すなわち、カルシウム、カリウム、珪酸イオンが多く含まれている程、 またマグネシウム、硫酸イオンが少ない程、おいしい水指標は高くなります。 健康によい水はカルシウムが多く、ナトリウムが少ない程よいようです。 <例2>厚生省案 一方、厚生省では、全国の水道水を調べて、「おいしい水の要件」を数値化しています。 おいしくする成分は蒸発残留物、硬度、遊離炭酸で、まずくする成分は有機物、臭気、残留塩素等になります。水温も大きく影響し、8〜12度が最適とされています。 (注)硬度:硬度とはカルシウム、マグネシウム分の量を示す一つの指標で、次の式により表します。 硬度=(Ca×2.5+Mg×4)おいしい水の基準
水質項目 おいしい水の要件 備 考 蒸発残留物(Mg/L) 30〜200 水を蒸発させて残ったもので、ミネラルや有機物の含有量を示します。量が多いと苦み、渋みがまし、適度に含まれるとまろやかな味がします。 硬度(Mg/L) 10〜100 ミネラルのなかでも量的に多いカルシウム、マグネシウムの含有量を示し、適度に存在するとまろやかな味がします。硬度の低い水は癖がないが淡白で、高いと好き嫌いが出ます。マグネシウムの多い水は苦みをまします。 遊離炭酸(Mg/L) 3〜30 水に溶けた炭酸ガスのことで、多く含まれるとサイダ−のようにさわやかな味・清涼感を与えます。多いと刺激が強くなります。 過マンガン酸カリウム消費量(Mg/L) 3以下 水の汚染の指標になる物質で有機物の量を示します。 臭気度(Mg/L) 3以下 測定しようとする水を無臭の水で希釈し、無臭になったときの希釈倍率で表します。 残留塩素(Mg/L) 0.4以下 消毒用に使用された塩素の量で、濃度が高いと味を悪くします。 水温 20℃以下 水のおいしさに大きく影響します。夏は冷やすとおいしく飲めます。
おいしい水の要件"の欄の数値は1985年の厚生省「おいしい水研究会」より
<例1>のおいしい指標(OI)値は成分の割合で判定しています。一方<例2>では成分の個々の量で表しています。両方を併用した指標が望ましいのではないでしょうか。